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インプラント適応症の拡大のための治療オプション  (1/2)

熊本インプラントセンター   添島歯科医院
添島義和(熊本市)

『 はじめに 』  補綴的に理想的なポジションと三次元的な位置を考慮したインプラントを植立することによって、機能的ならびに審美的なインプラント上部構造が得られるばかりか、長期的に予知性の高い治療の結果を得るができる。そのためには、インプラント適応症の拡大に対する治療術式が必要であり、骨を側方的に増多する方法、垂直的に増多する方法それにそのコンビネーションとして骨を移動する方法がある。これらの目的達成のためには、各術式の使用材料、移植材料等の整備はもちろんであるが、適応基準について検討する必要があるインプラントの適応症を拡大するため骨組織のマネージメントとして、

1.側方増多術

1) GBR
2) GBRwith Bone graft
3) Split crest technique
4) Wedge crest technique

2.垂直増多術

1) Bone graft with menbran or Timesh
2) Sinus lift
3) Sinus socket elevation
4) Distraction osst eogenesis

等があるが、これらを症例に応じた術式の選択によってインプラントの適応症を拡大するばかりか、審美的に患者の満足するインプラント治療のゴールを確実に具体化することになる。欠損部位の骨形熊はSeibertによって分類されているが、その他、隣接歯のCEJや歯肉形熊等軟組織の形熊と性状にも着目しなければならない。

骨形熊の分類 Seibert(1983)

Classl : 頬舌側骨量不足(水平的吸収)
Classll : 歯槽骨頂部の不足(垂直的吸収)
Classlll: Class lとClassllの複合的不足(垂直的・水平的吸収)一歯欠損形態の分類と術式

1歯欠損症例において、Buserは欠損骨形態を4型に分類にしている。

Classl : 理想的な骨形態
Classll : インプラント植立に充分な骨幅はあるが唇側骨に嵌凹のあるもの
Classlll: 骨の高さはあるが唇側骨が吸収しているために、インプラント植立と同時にGBRや骨移植等の必要な Simult enous approach症例
ClasslV : 骨の高さも幅も不足しているため、1次的にGBRや骨Block移植法によって骨の増多を行った後2次的にインプラントを植立する staged approach症例とした。

◎ ITIインプラントを応用した方法によるスタンダートな術式としては、
≫ Class l は、天然歯間中央にインプラントを植立させ唇側骨をスキャロップ状の形熊にして両隣接歯のCEJより2mm下方に唇側のインプラントショルダーが位置する様植立し、Esthetic healingcapを装着後、上皮の成熟を持ってプロビジョナルクラウンでイマージェンスプロファイルを決定し形態を整える。最終補綴はプロビジョナルクラウンの形態をコピーしたものによって製作すると内貿易できる。
≫ Classll は、Classlと同様インプラントを植立し唇側の軟組織の嵌凹部にインプラント植立と同時に口蓋側より採取した結合組織を移植して、軟組織に膨隆をもたせた形態に整形する。
≫ CLasslll は、インプラント植立後に唇側骨頂部より裂開を起こしているため、その部に骨細片を同時に移植後、非吸収性又は吸収性メンブレンで移植骨を被覆しメンブレンを固定後、創を完全に閉鎖する。
≫ Class lV は、骨幅および骨高が不足しているものであるから、第一に皮質骨と海綿骨の骨ブロックを採取し固定スクリューにて歯槽骨に移植骨を固定する。その周辺にはボーンチップやボーンスレリー(骨形成時の骨の消紛)で間隙埋めてその上をメンブレンで被覆して創は完全に閉鎖する。

● 4ヵ月から6ヵ月後にインプラント植立のための二次手術を行う。
 Class lllおよびClass lV共に同様にインプラント植立から6週後2次手術で歯槽粘膜を整形する目的で口蓋側に小切開を加えインプラントにエステティックヒーリングキャップを装着して1ヵ月後、粘膜の成熟後にテンポラリークラウンを作成して、インプラント周囲軟組織とイマージェンスプロファイルの形態を決定しそれをもとに最終上部構造を決定する。

審美性回復の留意事項  審美的な達成のためには隣接歯の歯内ライン、歯間乳頭の形態、インプラントフィクスチャーの露出対策等があげられる。D. Tannowは隣接部の歯槽骨頂部よりContact pointまでの距離が5mm以内であれば乳頭部は完全に満たされる。7mm以内では66%が満たされ、7mmを越えると27%しか満たされないことを報告した。そこで審美性達成のためリスクアセスメントについては、年齢、Perio、エンド、隣接天然歯の状態(perio,endo,etc)歯槽骨の保存状況等があげられる。これらを診断の上で治療計画が立案される。Cochran他は、インプラントとAbutment jointの部分から、上部構造装着後約2mmの垂直的な骨の退縮がありその後安定したremodellingを繰り返しその部分がインプラントにおけるBiolgic widthであると報告している。つまり部分欠損においてはその退縮部を考慮した診断のもとにインプラントの植立診断が必要である。したがって隣接歯との距離は少なくとも1.5mm、インプラント間の距離は3mm確保しないと骨吸収と共に歯肉ラインも退縮してインプラントの露出やシャドーが起こりかねない。
 加えて、インプラント周囲粘膜に性状には個体差があり角化不動粘膜の有無によって長期的な歯肉退縮の速度も異なって来ることから術前や術中にその対策が必要となってくる。そこで結合組織や上皮付き結合組織の移植、そして軟組織を側方または歯冠側に移動する等のソフトティシュマネージメントも必要になる。


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